コウモリは仲間の食事の音を盗み聞きしていた

エコーロケーションの「ポテチ袋効果」が明らかに

2015.01.15
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
オオオナガコウモリは獲物の位置を知るために仲間の鳴き声を聞いていた。(Photograph by Jens Rydell)

 食糧貯蔵庫で夫がガサゴソと音を立てているのが聞こえたら、私は何かいいものが見つかったのかと思って様子を見に行くことが多い。コウモリも同じ行動を取っていることが、このほど明らかになった。音を利用して、食事にありつける最適な場所に到着できるのだ。

 オオオナガコウモリ(学名:Rhinopoma microphyllum)は他のコウモリ同様、獲物を見つけて狙いを絞るのに、反響定位(エコーロケーション)という生まれ持ったソナーのような機能を使う。昆虫に近づくと鳴き声を発し、跳ね返ってくる音を頼りに正確に獲物に向かっていくのだ。しかし、鳴き声の効果はこれだけではないことが最新の研究で明らかになった。近くに餌があることを他のコウモリに知らせる、共通のシグナルとして機能しているのだという。

 イスラエル、テルアビブ大学の生物学者で研究を主導したヨシ・ヨベール氏は、これを「ポテチ袋効果」と呼んでいる。研究成果は米科学誌「カレント・バイオロジー」に1月8日付で発表された。

「真っ暗な映画館で私がポテトチップスの袋を開けたら、周囲の人は皆、私が何か食べ物を持っていると分かりますよね」とヨベール氏。「このコウモリの場合も同じなのです」。

コウモリの洞窟へ

 この研究でヨベール氏は小さなGPSチップを作製し、コウモリの高周波の鳴き声を録音するマイクを取り付けた。イスラエルで夏を過ごす、社会性の高いオオオナガコウモリにこのチップを装着し、性能を試した。

 ヨベール氏らの研究チームはガリラヤ湖近くの洞窟に生息するコウモリを捕らえ、外科手術用の接着剤でGPSチップを体に貼り付けた。1週間後には接着剤が自然にはがれ、チップが落下するため、コウモリを傷つけることはない。

 このチップでコウモリが出す超音波の鳴き声を録音し、位置も追跡できることを確認したヨベール氏は、コウモリの狩猟行動についての新たな疑問を解明する好機だと気付いた。「コウモリは他の個体が出すシグナルを餌探しに役立てているのか」という点だ。

ディナーの合図

 そこで、もっと多くのコウモリにGPSチップを取り付けることにした。落下したチップを集めるにはコウモリの休憩場所である洞窟を這い回ったり、山に登ったりしなくてはならず、研究チームが回収できたチップはわずか40%。それでも、1100回のコウモリたちのやり取りが記録されており、研究者らはそこから情報を得ることができた。

 その結果、1匹のコウモリが他の個体に聞こえる距離(約100メートル以内)で「獲物に狙いを定めた」ときの典型的な鳴き声を発すると、それを聞きつけたコウモリたちが、音のした地点へと集まっていたことが分かった。

 ヨベール氏は、コウモリが鳴き声を意思疎通に使っているのではないと強調した。むしろ、特定のシグナルが聞こえたら近くにいい餌があるという単純な学習の結果だと考えている。

「これらのコウモリは実質的に、仲間が出す音を盗み聞きしているわけです」とヨベール氏は話した。

文=Carrie Arnold/訳=高野夏美

  • このエントリーをはてなブックマークに追加