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「色々なレベルの自発性がありますが、例えば、受精卵から出発して発生の段階を経ていくというのも非常に自発的なものです。お母さんがお腹の中で感じる最初の胎動も、自発的な動きです。胎児期に脳が形成される過程をちょっと考えてみると、恐らくごくごく初期の段階から、個々のニューロンは活動を始めているわけです。勝手に活動していって、細胞同士、お互いにコミュニケーションしながら、だんだんネットワークをつくっていく。その時に、外部からの知覚情報っていうのは、まだ入ってません。胎児期にある程度の基本的な脳の構造が出来上がって、そのあとで目とか耳とかからの入力に応じた再組織化が起こってくる。要するに発達的に見ると、外部入力っていうのは2番目なんですね。自発活動は環境からの入力に先立つものなので、見つけようと思えばあらゆるところで見つかるんです」

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 これで、多賀さんが慎重に話を続けてきた理由が少し分かった気がする。胎児の時期に自発的におおまかな構造を作り上げてしまうことや、起きている時よりも眠っている時のネットワーク研究をまず理解しようとするのも、それらが「先立つもの」である自発運動に近いからだ。

 多賀さんの言う通り、自発運動はその気でみれば、色々なスケールであちこちに満ちあふれている。例えば、比較的最近、発見されて有名になった「時計遺伝子」(本連載では、三島和夫さんの研究室訪問で教えていただいた)。人間が(生き物が)24間周期で自発活動を変えていく、いわゆる概日リズムを司るもので、各細胞も、臓器も、まずはその「司令」をもとに自発的に同調していく。そして、その上に、光や食事といった外界からの入力が重なって、我々は内的なリズムと、外的なリズムを調節しつつ生きている

 話は際限なく広がる余地があるのだが、こと赤ちゃんに限ると──

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