<自分の道を見つける……>

 ぼくはとにかく、すこしでもジムに近づけるよう、真似るところから始めるつもりでした。

 でも、いつかは、ウィルの言う通り、自分の道をみつける……つまり、自分にしかできない仕事を見つけなければならないことでしょう。

 それが、どういうことなのかは、まだ予想がつかないけれど……努力を続けていけば、いつかウィルの言葉の意味が、分かるときがくるのでしょうか。

 じつは、その翌年の12月、ぼくはふたたびホームステッドに滞在していたのですが、ウィルが、このときと同じ忠告をしてくれたことがありました。

 それは、ある本が出版されて、ウィルの手元に届いたときのことでした。

 見せたいものがあると言って、ウィルが手に持っていたのは、有名なグラフ雑誌『ライフ』が出版したムック本で、タイトルは『The Greatest Adventures of All Time』でした。

 ウィルは、ページをめくりながら、ぼくに言いました。

「これを見ろ、歴史上の偉大な冒険家を集めた本だ。前文を頼まれたんだ。見せたいのは……ここだ、このページ……」

 本の中程、そこには、誰もが知る世界的な登山家の姿がありました。

「ラインホルト・メスナー……偉大な登山家だ。若い頃のヒーローだった。すごく憧れた。ナオミ・ウエムラと同じように。でも同じことなんか誰にもできやしない。とにかくオレは自分の夢を追ったんだ。北極圏、犬ぞり、そして南極。するとどうだ……」

 といいながら、ページをめくりました。

「ここに、オレの記事がある。メスナーの次のページだ……信じられない。インクレディブルだ。本当に自分か? 夢のようだ。自分の道を進んでいたら、こうなっていたんだ……」

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