「月齢が上がるに従って、強度が強くなっていくようなものと、それからだんだん強度が減っていくものと、減ってから増えるU字型変化をするものに分類できるんです。単純に強くなっていくのは、側頭葉ですとか後頭葉。ところが、前頭葉は、むしろ下がっていくんですよね。これはまだ解釈が固まってない現象です。脳っていうのは、お母さんのお腹の中で成長段階では、実は前頭葉の方からまず発達して、側頭葉とか後頭葉が遅れて発達する。その後でもう一度、前頭葉が発達し、それこそ青年期までかけて発達し続けるっていうふうに言われてるんですね」

 睡眠している状態のネットワーク研究でこれだけのことが分かる。

 分かっていないことも含めて、へぇ、っという驚きに満ちている。

 実を言うと、赤ちゃんの脳の睡眠状態での自発活動は、多賀さんたちが光トポグラフィを使って研究するようになってすぐに発見し、発表している。その後、成人のfMRIの研究で、じっとして何もしていないときの自発活動からネットワークを調べる研究が爆発的に広まった。最近では、光トポグラフィでもfMRIでも、脳のネットワークの様子を調べることができるとわかってきているのだが、それでも、眠っている赤ちゃんの場合、時間的な変化を細かく見られる光トポグラフィが有利、というのが多賀さんたちが示した成果だ。

94チャンネルの例。(写真クリックで拡大)

 そして、今度は赤ちゃんが起きている時の測定。これも被験者をあまり拘束しないですむ光トポグラフィの方が、ずっとやりやすい。

「覚醒した状態で調べる研究、いわゆるアクティベーション・スタディは、我々が世界にさきがけてやってきました。最初は12チャンネル、24チャンネルだったんですが、今は94チャンネルで測定できています。赤ちゃんにこのチャンネル数で計測できるのは我々だけじゃないかと思います。成人はある程度、そういう試みがあるんですが」

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