「眠っていたりしている時に、脳のネットワークがどう繋がっているかをみるのはネットワーク・スタディといいます。眠っていても、脳の各場所は活動したりやめたりを繰り返していまして、我々は自発活動って呼んでます。それを詳しく分析すると、結局どことどこがつながっているか、ネットワークの絵を描くことができるんです」

 特に外部入力がない状態でも活動しているのだから自発活動という。そして、その状態での繋がり方が、脳のネットワークの基本的な部分をあらわしていると考える。何かをしている時ではなく、じっとしてるときの脳の活動を分析するから基本的な繋がり方が見える、ということなのだ。

「新生児と3カ月児と6カ月児という3つのグループで、睡眠中に脳のどことどこが強い相関をもってたかってところに線を引いたものがこの図です。違いが分かりますか?」

 多賀さんは、3つの月齢の赤ちゃんの前頭葉・側頭葉・頭頂・後頭葉の4つの部位でのネットワーク構造を明らかにした図を見せてくださった。一見して、新生児はまだネットワークの結びつきが弱く、6カ月児はいろいろ強い相関が出ているのが見て取れる。

赤ちゃんの脳のネットワーク構造。上の行から前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉。左の列から新生児、3カ月児、6カ月児。(Homae et al:J. Neurosci. 2010・30(14):4877-4882)(著者の許可を得て転載)(画像クリックで拡大)

「顕著なのは側頭葉同士のネットワークです。新生児ではまだ見られなくて、3カ月になるとはっきり出てきて、6カ月となるとかなり幅が広くなって、いろんなところにつながる、というように。これは、左の脳と右の脳が脳梁を通じてつながっていくと理解できますね。耳のあたりの聴覚野どうしが結ばれるということもあって、左右の聴覚野が同期して働くようになるのを示しているんじゃないかと解釈できます」

 また、面白いのは前頭葉だ。新生児の段階からかなり強く同期した活動があり、その後、むしろ、減っているように見えるのだ。

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