第2回 急激に成長する赤ちゃんの脳で起きていること

 さいわい、ぼくたちは、実際に赤ちゃんが来て(もちろん保護者と)、研究に参加する「赤ちゃん研究室」で話を伺っていたので、さっそく装置を見せてもらえた。

 本体の筐体から光ファイバーのケーブルが伸びていて、赤ちゃんの頭の大きさに合わせた軽いヘッドギアのようなものにつながっている。多賀さんたちが工夫を凝らしているのは、この赤ちゃんに装着するセンサー部分だ。

赤ちゃん用の光トポグラフィ装置。(写真クリックで拡大)

「近赤外線という光を、頭の表面から当てるとそれが吸収されるんですが、一部が脳で散乱して戻ってきます。それによって、脳の表面の血流が多くなっているところ、つまり、活発に活動しているところが分かるんです。近赤外線は太陽光にも含まれている光です。頭に懐中電灯をあてているようなものを想像してくださるといいでしょう。そして、それを94箇所で測ります。空間分解能としては2センチくらい。脳は、しわとか溝によって部位が分けられてるんですけど、1つ1つの部位ぐらいの分解能は、これで十分なんですね」

 光トポグラフィ装置は脳の血流を見て、どこが活動しているか特定することができる。多賀さんの研究では、赤ちゃんに様々な刺激を与えて、その時の脳の様子を見ることになる。なお、同じく脳の血流を見るfMRI(機能的磁気共鳴画像法)とは、ある種の役割分担がある。光トポグラフィでは脳の表面を見ているのに対して、fMRIは内部の血流も見ることが出来る。その一方で、fMRIは一回の測定に時間がかかり、連続的なデータも取りにくい。特にじっとしていてくれない赤ちゃん相手の場合、簡単に装着できて取り回しもしやすい光トポグラフィ装置は「普段使い」の測定装置として優れており、何か脳内部までふくめた精密な測定が必要な場合はfMRIが必要になってくるのだった。