最新映画の恐竜は時代遅れ、専門家指摘

『ジュラシック・パーク』シリーズ最新作『ジュラシック・ワールド』

2014.12.01
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
映画『ジュラシック・パーク』シリーズ第1作に登場した恐竜が、最新作では近年の研究を反映することなく描かれていると科学者たちから不満の声が上がっている。(Photograph by Murray Close, Getty Images)

 かつて科学に忠実と謳われていた映画『ジュラシック・パーク』シリーズの最新作『ジュラシック・ワールド』に対し、古生物学者たちは不満を抱いているようだ。

 1990年代にヒットした『ジュラシック・パーク』シリーズ最新作となる映画の予告編が火曜日に公開され、YouTubeでの再生回数はすでに1400万回を超えた。舞台は島に建設されたサファリパークで、観光客のお目当てはクローン技術を駆使して古代のDNAから作られた恐竜。そこでハイブリッドの恐竜が暴走するという筋書きだ。

 世界中のファンが熱狂する中、恐竜の専門家らはハリウッドのやり方に不満を感じている。「ただの映画だということは承知している」と話すのは、メリーランド大学カレッジパーク校の古生物学者トーマス・R・ホルツ・ジュニア(Thomas R. Holtz, Jr.)氏。「だが、科学への忠実性という特別な価値が『ジュラシック・パーク』にはあったはずだ」。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

「初期の作品は1980年代の恐竜研究の成果を1990年代の観客に届けたが、最新作では同じものを2010年代の観客に提供しているように思える」とホルツ氏は言う。

 第1作の公開から数十年の間に、古生物学の世界では恐竜に関する大量の発見が注目を集めてきた。

 第一に、最古のものを含むほとんどの恐竜に保護の役割を果たす房や装飾的な羽枝、完全に発達した羽毛に至るまで、実にさまざまな縞模様や形、大きさの羽根が備わっていたことが明らかとなっている。ところが、予告編にはブドウのように滑らかな皮膚かワニのようなうろこに覆われた恐竜しか登場しない。

 また、映画の中のヴェロキラプトル(正確にはドロマエオサウルス)は実際よりも大きい。餌を食べるために海の中から姿を現すモササウルスは大型旅客機のような大きさで描かれているが、こちらも大きすぎるという。

 さらに、ヴェロキラプトルが体の前で“手”を構える姿も時代遅れだといい、モササウルスにみられるひだの存在は約10年前に科学者たちによって否定されている。

 イギリス、サウサンプトン大学の動物学者ダレン・ナイシュ(Darren Naish)氏は、「彼らが初期の『ジュラシック・パーク』を真似た“古風な”恐竜を描くことを意図的に選ぶとはがっかりだ」と話す。

狂った科学者

『ジュラシック・ワールド』では遺伝子組み換えで力を増したスーパー恐竜の逃走から物語が展開し、古代のDNAで恐竜を蘇らせるというストーリーを描いた原作のテーマ“遺伝子研究の危険性”に立ち返った内容となっている。

 ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学の古生物学者マイケル・ハビブ(Michael Habib)氏は「これは科学者たちが自制や判断力に欠け、誰かが止めなければ世界を破壊しかねないという古臭いたとえ話だ」と述べた。

前向きな点も

 一方、的確な点にも気がついたとホルツ氏は指摘する。その一例が、モササウルスが口を開けたときに現れる“口蓋”歯だ。「細部への注意がうかがえる」とホルツ氏。

 また、ロンドン大学の古生物学者ジョン・ハッチンソン(John Hutchinson)氏は、映画が「描写の正確さや実際の科学的知見について議論する機会を科学者たちに与えるものだ」と話す。

 否定的な見方にもかかわらず、今回インタビューに応じた古生物学者たちのほぼ全員が映画を観に行く予定だという。

文=Linda Qiu and Dan Vergano

  • このエントリーをはてなブックマークに追加