第117話 オリバー爺さんの森からの授業
焚き木はもはや小さくなっていて、昨夜と同じく、凍った揚げドーナツにジャガイモ、ソーセージを温めた。
横に座るトーニャの顔を見ると、目の下にクマを溜めて、やつれていた。
昨夜は、結局一睡もできずに、焚き火のそばで火を突きながら朝を待っていたのだという。
あまりにも動かずに寝ている私に不安になって、死んでいないかと、私の寝息を何度も確認したのだという。
私には、半目を開けて死体のように寝る友人がいるが、私もまた疲れていると、ほとんど寝返りを打たずに、布団の中のご遺体様のように寝てしまうことがある。
そんな私にトーニャは、
「イビキぐらいかいでくれれば、楽なのに」と笑った。
そして彼女は、疲れ切った深い息を吐いて、
「朝食を食べ終えたら、野営をたたんで、ロッジに戻りましょう」と言った。
私も賛成だった。
残念だけれど、やはりスノーモービルでは、オリバー爺さんのソッドハウスまで辿りつくことができない。
パワフルな人工の利器をもってしても、この過酷な自然の中では、ただの鉄の塊に他ならないのだ。