第2回 飛行機で南極大陸へ

イリューシンの機内。今シーズン第1便目なので満席だった。壁には南極航空ネットワークに参加している国々の旗が掲げられ、機内の半分以上が貨物スペースとなっている。

 エンジンがかかると、機内は隣同士で普通に会話が出来ないくらいの騒音になった。離陸して上空まで行くと、サンドイッチや飲み物が配られ、その後ずっと、前方の大きなモニターに英BBCの自然ドキュメンタリー番組が上映されていた。南極へ行こうという人たちにはやはりこういう番組が人気なのかもしれない。

着替え戦争

 離陸から3時間くらい経った頃、ぽつぽつと防寒着に着替える人たちが出てきて、4時間経った頃には着替えがピークを迎えた。シート後方のかばん置き場周辺をチラリと見てみると、『黒タイツ+上半身裸の人々』がぶつかり合って、もはや戦場と化していた。搭乗者66名のうち、女性は私とアリソンの他に2名の計4名。この着替え戦場に突入するなんてとんでもないと判断した私はしばし待つことにした。

 それから1時間もすると、あれほど壮絶だった着替え戦争はすっかり沈静化し、かばん置き場には平和が訪れていた。おかげで、私はゆったりと優雅に防寒着・防寒靴へ着替えることができた。南極へ向け、みなが鼻息荒く興奮気味な中でその雰囲気に飲まれることなく、我ながらよくもまぁ冷静なナイス判断を下せたものだ。

 しばらくして、着陸に向けイリューシンは下降し始めた。シートのそばには外の様子を伺えるような窓がなく、その代わり、機体前方に取り付けられたカメラの映像が目の前の大きなモニターに映し出されるはずだった。が、カメラの故障か何かで、なんだこりゃ??というようなよく分からない灰色のぼやけた映像がただ映し出されるだけ。とにかく時折エンジン音が大きく変化しながら、確実に下降していることだけは感覚で分かった。