ようやく解けて、かじれるようになった食料を、貪るようにお腹に入れると、

「さて、どっちで寝る?」と、トーニャが私に聞いた。

 スプルースの枝葉を敷いた寝床は、2つ作った。

 1つは、雪の大地の上に直に枝葉を敷いた、雪上吹きさらしベッドだけどキングサイズ。

 もう1つは、牽引してきた橇の中の荷物を外に出して、枝葉を敷きつめた、寒風遮断箱型ベッドだけれど、シングル2分の1ほどの極狭サイズ。

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 これは、どっちもどっち、迷う選択である。

 そんな私に、トーニャは、

「マッシャーはこういう時、橇の中で寝るものなのよ」と言う。

 ならば、私が橇の中で寝よう。

 マッシャー修業中の身なのであるから、なんでも体験だ。

 橇の中に入って、体を横にしてみると、横幅が狭過ぎて、肩をすぼめて、腕と手をお腹に上げてなければならない。

「なんだか、お棺みたいだよ」

 死んだ人の気分だ……。

 箱に収まっている私を見下ろすトーニャと、中で手をクロスさせている私。

 これは完全に、神妙に手を合わせたくなるような状況だ。

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