Culicidae
カは血を吸うのか
Photograph by Darlyne A. Murawski
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早わかり

分類: 昆虫
保護状態: なし
食性: 肉食
寿命: 野生: 2 週間 ~ 6 カ月
体長: 0.3 ~ 2 センチ
体重: 平均 2.5 ミリグラム
カに刺された部分は赤く盛り上がり痒みを生じるが、これはカの唾液に対するアレルギー反応である。

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分布

プロフィール

 カほど腹立たしい生物は、地球上にそう多くはない。カは、ほとんどあらゆる場所に存在し、刺されるとイライラするような痒みが生じるため、屋外でのバーベキューやハイキングを台無しにしかねない。カには人間の殺意を察知する不思議な能力があり、ピシャリと叩かれる寸前に飛び立ち見えなくなる。寝室では、あのしつこい羽音のせいでどんなに深い眠りも破られてしまう。

 不快な存在であるという以上に、カは人類に最も致命的な数種類の病気を媒介する生物であり、世界各地で行われている感染症との闘いにとって最大の敵だ。カが媒介する病気によって、世界中で毎年、数百万人が命を落としており、その犠牲者の大半は発展途上国の子どもや高齢者である。

 カの種類は3000種を超えるが、人間の病気の拡大要因となるのは3種類である。ハマダラカ属のカは、マラリアを媒介することが知られている唯一の種類であり、フィラリア症(象皮病ともいう)と脳炎の感染源ともなる。イエカ属のカは、脳炎やフィラリア症、ウエストナイルウイルスを媒介し、食欲旺盛なヒトスジシマカをはじめとするヤブカ属のカは、黄熱病、デング熱、脳炎を媒介する。

 カは、生物が吐き出す二酸化炭素や体臭、体温、動きを察知して血を吸う相手に狙いを付ける。吸血に必要な口器があるのは、メスのカだけである。口吻部の2本の管を皮膚に突き刺し、一方の管で血液の凝固を防ぐ酵素を注入し、もう一方の管で血を吸引する。カが血を吸うのは、自身の食料としてではなく、卵に必要な蛋白源を得るためだ。その性別にかかわらず、カが食物とするのは、花蜜やその他植物に含まれる糖質なのだ。

 カはさまざまな方法で病気を運ぶ。マラリアの場合、メスのカの消化管に寄生虫が取り付き、そのカが人間の血を吸うときに感染が起こる。黄熱病やデング熱などでは、感染した人間の血を吸うことでカの体内にウイルスが入り、カの唾液を介してさらに伝染する。

 カになんらかの意義を見出すとしたら、鳥やコウモリ、トンボ、カエルなど数多くの生物にとって、カは確実な食料源であるということだろう。また、ほとんどのカが獲物として真っ先に選ぶのは人間ではない。カが好むのは、たいていは馬や牛、鳥である。

 種類を問わず、カの繁殖には水が必要なことから、その根絶や抑制を図るには、通常、水の溜まっている場所の除去や処理が必要となる。カの成虫を駆除するため、さまざまな殺虫剤が普及しているが、カの分布拡大を防ぐ努力はほとんど効果を上げていない。それどころか、地球温暖化によりその数は増え続けると懸念されている。

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