ルイ14世を魅了したエンドウマメの歴史

グリーンピース登場

 15世紀には、青く未熟な状態で食べるガーデンピー(日本でいうグリーンピース)が登場し、またたく間に上流階級の人々に好んで食べられるようになった。青いエンドウマメは、美食を極めたルイ14世の宮殿でも熱狂的な人気を博した。ルイ14世の愛人のひとり、マントノン夫人が1695年に書いた手紙にはこうある。

「エンドウマメについての話題は尽きることがありません。まずはそれを口にするまでのもどかしさ、それを食べた喜び、そしてもう一度食べたいという渇望。うちの王子たちはここ4日というもの、その3点についてずっと話し続けています」

 王族や廷臣たちはどうやら、エンドウマメをソースに浸してから、鞘からチュルチュルと吸い出すようにして食べたらしい。マントノン夫人自身がエンドウマメについてどう思っていたかは定かではないが、ルイ14世はエンドウマメを食べ続けたせいでついには消化不良を起こし、お付きの医者たちから体を動かすためにビリヤードをするよう助言を受けたという。

 フランス人を夢中にさせたこのガーデンピーは、かつての品種に比べれば格段においしくなっていたとは言え、それでもまだデンプン質が多く、実の表面がツルリとしていた。そのツルツル品種が時代遅れになったのは18世紀末、トマス・アンドルー・ナイト(1759~1838年)が偶然、シワのある珍しいエンドウマメを発見したためであった。

Photograph by The James Kitchen, Creative Commons 2.0