第38回  まるで異国!アメ横の多国籍食品街

 先ほどの新井商店も同じようなことを言っていたが、外国人が多く訪れるようになった理由はアメヤ横丁の歴史にもあると思われる。アメ横は戦後に生まれた闇市が発展した商店街。そこでは在日の中国人や韓国・朝鮮人なども商売をしていて、自ずと外国人が集まってくるようになった。やがて建物などは整備されたが、彼らは上野に留まり文化を形成していった。アメ横の近くには、韓国料理店や民族衣装を扱う店などが軒を連ねる通りもある。

 アメ横センタービルの地下街は、そうやって上野に集まってくる外国人の要望を受け入れるうちに発展したのではないか。そしていまや日本に住む外国人が故郷の味を手に入れるための大事な場所となっている。

「これ、なんかすごそうですよ!」とTさんが瓶詰めを持ってきた。今日のTさん、生き生きしている。瓶には灰色のどろどろとした物体が入っていて「臭豆腐」と書かれていた。臭豆腐なら知っている。台湾の屋台街に必ずある豆腐料理で、クサヤのような独特の臭さとクセが人気のB級グルメだ。それとは見た目が違うから調理する前のものかもしれない。おもしろそうなのでこれも購入した。

 家に持ち帰り、さっそく味見&料理開始。まず、ツンドクバナナをTさんが口に入れた。「渋い!!」とのけぞるTさん。驚きつつも私も一口。うわっ、確かに! バナナの香りがほんのりするものの甘みはなく、口が軽くしびれた。うっかり渋柿を食べてしまったときのがっかり感が襲ってくる。

 そこで素揚げしてみることにした。マレーシアのアマンダさんが揚げバナナをつくってくれたときに「本当は調理用の甘くないバナナを使う」と言っていたのを思い出したからだ。揚げたバナナからは渋さが消えていた。サツマイモの天ぷらのようにホクホクで香りも際立っている。塩をつけると甘みが増し、Tさんは一転して「美味しい」とぱくぱく食べている。

ツンドクバナナの実はほのかなピンク。皮はかたくて手ではむけない。右は素揚げしたもの