第38回  まるで異国!アメ横の多国籍食品街

野澤屋の店長・杉浦さん。野澤屋は闇市の頃から上野に店を構えている

 そこへ、いつのまにか他の店を見にいっていたTさんが戻ってきた。「巨大なバナナを発見しました。普通のバナナの2倍はあります」と連れて行かれて驚いた。長さが40センチ近くもあるのだ。「それはツンドクバナナといって調理用のバナナだよ。アジア人はもちろん、アフリカ人にも人気だね」と、世界各国の香辛料などを販売する野澤屋の店長・杉浦康雄さんが教えてくれた。なるほど、アフリカにはバナナを主食にする国も多い。

「うちはスパイスだけでも約200種類。商品全部だと1000種類くらいあるかな。アジアだけじゃなく、南米やアフリカの食材も扱っているので客層が幅広いんだよ」と言って、杉浦さんは「これ何だかわかる?」と葉物野菜を手にした。

「パクチーですか?」

「そうそう、パクチー。でもポップにはパクチーのほか、漢字で香菜、英語でCORIANDER、それからバングラデシュの言葉と、4つの言葉で表記しているんだ。いろいろな国の人が買い求めにくるからね」。杉浦さんの話によると約20年前、日本で初めてパクチーを店頭販売したのが野澤屋だそうだ。

「もともとうちはコノワタや数の子といった高級珍味を扱う店だったんだけど、一角に少しだけ香辛料を置いていたら、それを目当てに外国人のお客さんがたくさん訪れるようになった。そのうち彼らから、あれはないか、これはないかと問い合わせを受けるようになって、入荷するうちに輸入食材店になってしまったんだよ」

ツンドクバナナはフィリピン産。一般的なバナナと並んでいるのを見ても大きさの違いが歴然だ
野澤屋の真ん中に置かれていたパクチー
数十種類の唐辛子商品をはじめ、スパイスや豆がぎっしりと並ぶ