第38回 まるで異国!アメ横の多国籍食品街
今年も残りあとわずか。クリスマスや忘年会、そしてお正月の準備にと忙しくも活気に満ちた時季がやってきた。そんな師走のある日、私と編集Tさんが立っていたのは東京・上野のアメヤ横丁。買い出しに来た人びとで賑わう様子が、年末の風物詩にもなっている商店街だ。
魚屋や乾物屋の威勢のいい声が飛び交う通り。とはいえ、この日の目的はカニでもタイでもなかった。ごった返す人をかき分け、商店街の真ん中あたりにあるアメ横センタービルへと向かう。
きっかけは横浜市でマレーシアのソウルフード(第36回参照)を食べたときのことだ。料理をつくってくれたアマンダさんは、日本のキッチンではほとんどお目にかかれない調味料をたくさん揃えていた。聞けば、アメヤ横丁に外国の食材や調味料が豊富に揃い、多くの外国人が買い物に訪れる場所があるという。それはおもしろそうだと、我々も買い物に行くことにしたのである。
ビルの地下1Fに海外の食材を売る店が集まっていると聞き、建物の階段を下りる。まず目に飛び込んできたのは山積みにされたココナッツやパパイヤの実。顔を上げると奥の棚には赤や黄色、緑のポップなパッケージの缶詰や袋が並び、向かいの魚屋では旬の上海ガニが大量に売られている。そして、アジアや南米、アフリカの人たちとおぼしき買い物客。一瞬にして異国の市場に迷い込んでしまったようだ。
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