また、デサント社には防寒着のほかに、ゴアテックスのジャケット、パンツといったハードシェルに代わる防風用のソフトシェルの特注品もお願いしており、そのサンプルの出来上がりについても話し合った。ゴアテックスは防風性能は完璧なのだが、極地で使用するとどうしても透湿性に限界があるため、行動中に汗が内側で結露してしまう。結露した水分は凍結するので、行動終了後にテントに入ると、シェルの内側が冷凍庫のように霜まみれになり、内側に着ているズボンや上着を濡らしてしまうのだ。

 極地に限らず山でもジャングルでも、探検中に避けたいのはこの濡れによる不快感である。そこで次はゴアテックスの代わりに防風性能の高い生地を使ったソフトシェルと、薄手のウインドブレーカーの開発を依頼している。また、防寒ミトン(巨大な2本指の手袋)や靴の上に履くオーバーシューズ、荷物を入れるスタッフバッグなどなど、かなりの種類の特注品を頼んでおり、年明けには2回目のサンプルが出来上がる予定だ。

 デサント社との打ち合わせが終わると、今度は総合アウトドアメーカーであるモンベル本社を訪問した。モンベル社にお願いしているのは寝袋の特注品である。

 寝袋の問題点は、寝ている間に身体から発散された汗が外に向かって放散していき、綿の内部の外気に触れるあたりで凍りついていくことだ。そのため、いつも旅を始めてから2週間ぐらいで寝袋の綿の中に氷の塊ができはじめ、それがどんどん成長していき、1カ月を過ぎる頃になると寝袋の重さが5キロぐらいになっている。羽毛ではなく化繊の寝袋を使っているので凍っても寒くはないのだが、それでも重くなるのは非常にストレスとなる。

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