第1回 特殊装備を発注

 1週間ほど前、2015年の北極圏探検で使用する装備の打ち合わせのために大阪に行ってきた。最初に訪問したのは米国のアウトドアブランド、マーモットを日本で展開するデサント社である。

 デサント社からは、2010年に『空白の五マイル』という本を書いて以降、衣類を中心に装備の提供を受けてきた。北極圏の旅に関しても、2011年に初めて極北カナダで長い徒歩探検をしたとき以来、羽毛服やゴアテックスのジャケット、パンツなどを使わせてもらっている。ただ、今回大阪に行ったのは既製品に関してではなく、次に私が計画している北極圏の特殊な旅で使う独自の装備を開発することが目的だった。

 2015年3月から私はグリーンランド最北の村シオラパルクを根拠地に、1年間にわたる長い旅を計画している。テーマは極夜の探検。北極圏は冬の間、地平線から太陽が昇らない極夜という季節を迎える。要するに長い夜の季節だ。この夜の季節は、緯度が高くなり北極点に近くなればなるほど期間も長くなるし、そして暗闇の深さも増す。私が滞在を予定しているシオラパルクは北緯77度47分にある世界最北の村のひとつで、11月下旬から2月中旬までのほぼ4カ月間、太陽が姿を現さない。この長い夜の世界を、たった一人で誰にも会わずに橇を引いて旅をすることができたら、私は誰も知らない地球の裏の素顔を見ることができるだろう。手短に述べると、それが私が考えている次の北極探検の全容である。

 とはいえ、それが簡単なことではないことは分かっている。私はこの計画を実行するにあたり、すでに2012年冬と2014年春に、それぞれカナダ・ケント半島とシオラパルクで予備探検みたいなのを行い、カナダでは実際に1カ月間、極夜の暗闇を歩いてみた。その結果わかったのは、極夜という環境で長期間旅行を実行するためには、太陽が昇っている季節とはまったく異なる対策が必要になるということだった。

2014年春の予備探検で、愛犬ウヤミリックと。