第115話 女の子2人の極寒野宿決行!
スノーモービルを走らせる道の両脇には、ウサギなどの小動物の足跡と交ざって、オオカミの足跡が多く残されていた。
近くにオオカミの群れがいるとすると、いつも以上に気をつけなければならない。
オオカミは群れると、グリズリーすら襲うこともあるというから、か弱い仔羊のような女の子の私たちなど、朝飯前だろう。
林を抜け、なだらかなツンドラの丘を越え、再び林の中を走っていると、突然に道がなくなってしまった。
ここまでしか、今年の雪道は開いていないのだ。
幸いなことに、そこからは下り坂になっていて、スノーモービルを一気に滑り落とすように走らせれば、雪を掻き分けながら進むことができる。
まずはトーニャが先に降りて行くことになった。
後ろに牽引している橇の重量で、さらに雪道がついて、私が走り易くなるだろうとの計算もあった。
しかしながら、深く積もった雪は簡単には開いてくれず、トーニャのスノーモービルは、右へ左へとハンドルを取られて、まっすぐに進まず、10メートル進むのにも、やっとの思いだった。