第119回  “揚げおかき”風味のネパール菓子

セルロティの生地。プルジャさんは粗く挽いた自家製米粉を使っていた。とろっとしたゆるめの生地だ

 セルロティを食べるのは、結婚式をはじめとする祝いごとなど特別な行事があるとき。「普段の日にも町中で売っていますが、めでたいというイメージがあるお菓子なんです」と彼女。特にティハールと呼ばれる秋の収穫祭の際に食べるのだという。元々、同国の主な宗教であるヒンドゥー教のお祭りだそうだが、プルジャさんのような仏教徒もお祝いをする。セルロティが登場するのは、5日間続く祭りの3日目からだという。お金の神様として知られる祭神ラクシュミー女神(仏教では吉祥天)にお供えをするのだ。「結婚式では、赤や緑、黄色などに色付けしたセルロティを作るんですよ。おしゃれでしょ?」とプルジャさんは楽しそうにいう。

 お店のメニューにはなかったセルロティ作りのために、プルジャさんは探検隊が店にお邪魔する前の日からお米を水に浸し準備をしてくれていた。お菓子作りに合った自家製の米粉を作るためだ。この米粉に強力粉とギー(澄ましバター)を合わせ、砂糖を入れて植物油で揚げる。見ているとプルジャさん、ゆるめの生地を手ですくって油に入れ、器用に丸いドーナッツの形に揚げていく。驚いていたら、「今日は、なかなかきれいに丸くならないなぁ。上手い人は、本当に真ん丸に揚げるんですよ」と、ちょっとくやしそう。

 ほどなく、こんがりきつね色の揚げたてドーナッツが出てきた。香ばしいお米の香りがぷわんと立ち上る。たまらずかぶりつくと、あ、これは! カリカリざくざくとしたドーナッツの外側が、まるで揚げおかきのような味わいなのだ。そして、中はもっちり。

 実はプルジャさん、生地に砂糖を入れるのを忘れていた。だから、いただいたセルロティはますます揚げおかきそっくりだったというわけ。もっとも、後で砂糖をまぶして食べてみたが、やっぱり甘いおかきを思わせる風味。遥か遠い国のお菓子なのに、どこか懐かしさを覚える味でした。

セルロティを揚げているところ。プルジャさんは手ですくった生地を油に入れ、菜箸で少し形を整えながら丸いドーナッツを作っていた。器用!
作りたてのセルロティ。バナナなどを入れることもあるようだ。大きさは作る人によって様々。プルジャさんが作ってくれたものは、直径13、14センチもある大きなドーナッツ