そうやって完成したコンニャクは淡い灰色で気泡が多く、プルプルとしている。軽くにぎっただけでも崩れてしまうんじゃないか、というくらいやわらかい。ツルリとしているがかたく、色も濃くて黒いツブツブの入った一般的な市販のコンニャクとはだいぶ違うが、祖母がつくる方が昔ながらのコンニャクである。では、色が濃くて黒いツブツブが入ったコンニャクが主流なのはなぜなのか。それは、技術の発展による大量生産に理由があるようだ。

これが昔ながらの手づくりコンニャク。(以下写真:藤谷清美)(写真クリックで拡大)

 粉を精製する技術が上がるにつれてコンニャクはどんどん白くなっていった。だが消費者は、コンニャクは灰色をしているものだと思っているので、売り上げが伸びない。そこで生芋からつくるコンニャクに似せるため、さらには栄養面も考えてヒジキやアラメなどの海藻類で色をつけるようになったのだ。黒いツブツブは粉砕した海藻類なのである。

 こうして食べる側に受け入れられるように改良が重ねられてきたコンニャク。しかしこれまでに、コンニャク芋の生産量は多少の波があるものの減少していて、1967年頃には13万トン以上あったのが2013年では約半分の6万5000トン程度しかない。この背景には日本の他の農作物にも見られる、食事の多様化による消費量の低下と生産者の高齢化がある。祖父母はもちろん、私が見る限りでは周りの農家も高齢者ばかりだ。

 いっぽう輸入はというと、日本以外でコンニャク芋を生産している主な国は中国や韓国、ラオス、ミャンマーなどである。しかし、どの国も一部の地域、または特定の料理で食べられているくらいで、ラオス、ミャンマーなどは日本への輸出に向けてコンニャク芋を栽培している割合が高い。この2国は後発開発途上国であり、特別特恵措置が取られていることが大きいようだ。コンニャク製品の輸入は中国が約9割。いずれにしても、日本ほどコンニャクを日常的に食べないことから、生産の多くは輸出を目的としている。

 いまは国内産のほうが圧倒的に多いが、TPP(環太平洋経済連携協定)のような問題もある。参加国にコンニャクの生産国が入ってないことからTPPの重要品目から外れているものの、TPPを機に参加国が輸出促進に転じたり、新たに参加する国が出てきたりなどしたら外国産が急増するのではないか、と懸念する生産者もいる。

 コンニャク業界では需要を高めるために、ゼリーをはじめ、パスタやラーメン、ハンバーグなどさまざまなコンニャク製品をつくっている。それらを国内にとどまらず、健康食品であることを売りにして欧米などの海外への販路拡大も視野に入れているようだ。

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