第114話 最も過酷な旅のはじまり

 次にトーニャは、受話器を持ったまま、ラジオ局に電話をかけて、私たちがスノーモービルでオリバー爺さんのキャビンを目指すことを伝えた。

 この辺りでは、マクラックス放送というローカルラジオ局があって、そこに電話をして伝達したいことを伝えると、すぐにも公共の電波で発信してくれる。

 これは、ラジオ電波は受信できるけれど、電話線が通っていなければ、携帯も通じないような森の奥地に住む人たちの、電話代わりになっているのだ。

 この放送で、私たちの計画を伝えておけば、森に住む人たち全てが私たちの行動を気にかけてくれるし、いざと言うときには助けにもなってくれる。

 個々に森のなかで離れていながらも、みんなでお互いを気遣い助け合おうという、この地域ならではのシステムなのである。

 そうすることによって、私たち女性2人だけの冒険でも、少しは安心することができる。

 それが済むと、朝食は手早く、シリアルにロングライフミルクをかけて、バリボリと食べた。

 が、――その時である。

 私はハッとして、トーニャの顔を見て言った。

「そう言えば、食料積んだ?」

 私たちは顔を見合わせて、そして、ほっと胸を撫で下ろした。

「出発前に気がついて良かったね~」と。

 あまりにもスノーモービルに必要な物ばかりを考えていて、肝心なものをすっかり忘れていたのだ。

 私たちコンビは、こういうことが多々ある。

 同い年で、双子のような親友である私たちは、間が抜けているのも、ドジを踏むのも同じなのだ。

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