第114話 最も過酷な旅のはじまり

「もしかして、これはオリバー爺さんの遺言のようなものかもしれない……」

 トーニャは、ぼそりと呟いた。

 私も実は、そう感じていた。

 そう思うと、胸が詰まるほどの悲しさを覚え、そして、なにがなんでも行くしかないという思いに駆られた。

 私たちは無言のまま、お互いの意思を確かめ合うように見つめ合い、どうにか行くことができないかと、深く思考を巡らせた。

 スティーブの情報によると、デッドフィッシュ湖までの道のりには、今は使われていないキャビンが2つあるという。

 それはもしかすると、すでに倒壊しているかもしれないし、古い時代に建てられたものなので、発がん性の高いアスベスト素材が内装に使われているかもしれないとのことだった。

 が、そういった場所でも、遭難時の避難場所になるし、大抵の場合は、なにかしらの備えが残っていて、暖をとったり、休憩をしたりするには、好都合な場所でもある。

 犬橇であれ、スノーモービルであれ、その2つのキャビンを宿泊地とすれば、なんとか3日で行けるだろうとのことだった。

 しかしそれも、すでに雪が掻き分けられていて、道がつけられてある状況でのことだ。

 状況は、行ってみなければ分からない。

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