第6回 海底に沈む遺跡を究める「水中考古学」に刮目せよ!

「いえ、つながりますよ」と小野さんはあっさりと答えた。

「どっちも、結局、人の動きなんですよね。陸の遺跡からもわかることも多いけれど、水中にもそういった文化遺産が沈んでいるんであれば、陸の遺跡からだけではわからないことが絶対わかってくるので。沖縄本島だと色々記録が残っているけれど、石垣島みたいな離れたところまでは分からなくて、ここに運ばれていたのは一体何だったんだろうかですとか。もっと広く言うと、やっぱりテーマとしては海を越えた人たちの移動、あるいは航海そのもの。時代も場所も違いますけど、基本的に探ろうとしてることは一緒です。日本では水中の遺跡をやっていて、オセアニアでは今のところ陸上の遺跡であるわけですけど、私の中では結構つながってますね」

 ということは、そのうちにオセアニアの島々で水中遺跡の調査などを始めるという方向性もありうるのだろうか。それは、また、日本近海とは違った意味で興味深い。同時に、南国の「楽園水中考古学」的なイメージを抱いて楽しい気分になる。夜な夜な幽霊が出てくるとしてもきっともっと陽気な幽霊だろう。

 海と人、人の移動や海への適応。そういったことをテーマにして、時代や地域を縦横無尽に駆け巡る、小野さんの研究から生み出される新しい知見が楽しみだ。

キハダの骨を手に。(写真クリックで拡大)

おわり

小野林太郎(おの りんたろう)

1975年、島根県生まれ。東海大学海洋学部海洋文明学科准教授。博士(地域研究)。2003年、上智大学外国語学研究科地域研究専攻博士課程単位取得後、日本学術振興会特別研究員(国立民族学博物館)、総合地球環境学研究所研究プロジェクト推進支援員,日本学術振興会海外特別研究員(オーストラリア国立大学)などを経て,2010年より東海大学海洋学部海洋文明学科に所属。専門は海洋考古学、東南アジア地域研究、オセアニア考古学。『海域世界の地域研究 (地域研究叢書 24)』(京都大学学術出版会)などの著書がある。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)、NHKでアニメ化された「銀河へキックオフ」の原作『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)など。最新刊は、ニュージーランドで小学校に通う兄妹の冒険を描いた『続・12月の夏休み──ケンタとミノリのつづきの冒険日記』(偕成社)。
本連載からは、「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめたノンフィクション『8時間睡眠のウソ。 ――日本人の眠り、8つの新常識』(日経BP)、「昆虫学」「ロボット」「宇宙開発」などの研究室訪問を加筆修正した『「研究室」に行ってみた。』 (ちくまプリマー新書・2014年12月上旬刊行予定)がスピンアウトしている。