第6回 海底に沈む遺跡を究める「水中考古学」に刮目せよ!

 しかし、建物ではなくて、沈没船由来のものなのか。

 残念。とどこかがっかりしたのは、アレキサンドリアの水中遺跡からの連想でそちら方面を期待していたからだと思う。実際は、近世の沈没船が海底で見つかること自体凄いことであり、学術的な意味も文化的な意味も計り知れない。間違いない。

 では、今後の具体的な計画はどうなっているのだろう。調査を進め、将来的に引き上げるとしたら……。

「実は、今、基本的に引き上げるというのはあまりしないんですよ」と小野さん。

 ええっ、そうなんですか! よく沈没船から「お宝」を引き上げているダイバーの話を聞いたことがあるものだから、すっかりそういうものだと思っていた。

「今ユネスコが、水中文化遺産保護条約っていうのを推し進めていて、それの方針でも、やっぱり基本的に水中に極力とどめておくものだと。保存がきくんであれば、それのほうがいいっていうことと、上げるのは大変だし、上げた後の保存も大変なんです。そういうコストを考えると、やっぱりその場所にとどめておいて、むしろ見たい人には潜って見てもらう。ガイドラインをちゃんと確立すれば、地元にもお金が入るし、文化遺産も守られるっていうコンセプトです」

 というわけで、初島の海底の瓦は、引き上げられず、現場に留め置かれる。水中で浮いてしまっていたりして、例えば次に台風が来たら行方不明になってしまう、というのでもない限り、現状維持される。今の目標は、水中の文化遺産として、県や地元の教育委員会に認知してもらい、埋蔵文化財包蔵地に登録してもらうことだそうだ。

 実はこの点で、先を行っているのが沖縄県だ。小野さんも関わっている石垣島屋良部沖の遺跡がよい例。すでに調査がなされ、文化財の登録もされている。