第37回  巨大鍋でつくる ウズベキスタン男の料理

 油をたっぷり使うことが、旨みを出すポイントだとファズリディンさんは言う。「ウズベキスタンにはプロフ用の油があります。見た目も風味も魚醤に似ていていい香りがするんですが、日本では手に入らないので郵送してもらったり、羊の脂身からとった油を使ったりしています。今日は羊の油ですがこれも旨みがよく出るんですよ」

 全国的な料理だと聞いていたので地方色があるのかと尋ねると、「地方や家庭によってニンニクを丸ごと入れたり、ヒヨコマメやレーズンを入れたりするけれど、基本の材料は店と同じ」だと言う。ファズリディンさんのつくるプロフはお母さん直伝のレシピ。サマルカンドで医師をしているお母さんは、多忙なときでも必ず料理をつくるという。

「私も教師をしている父も、母の料理で一番好きなのがプロフ。ウズベキスタン人は週に1回プロフを食べると言いましたが、私の家では2~3日に1回は食べます。いつも同じ材料で同じ味だけど飽きることはありません」と、ファズリディンさんは笑う。

 材料よりも、つくり方の方が地域によって違いがあるそうだ。「サマルカンドでは肉、ニンジン、米の順で鍋に入れてそのまま蒸し、皿に盛るときは鍋の上から、つまり米、ニンジン、肉の順にのせていきます。でも、首都のタシケントなどでは炒めた具と米を混ぜてから炊くんです(1ページ目、冒頭の写真)。ピラフみたいな感じですね」

ウズベキスタンのお茶。すっきりとした飲み口がプロフのような油っぽい料理に合う。血圧を下げる効果もあるそうだ
シャキシャキとした食感が心地よいニンジンサラダ。ニンジンはいまのアフガニスタン辺りが原産地で、ニンジンサラダは中央アジアでよく食べられている