第87回 ひっそりと咲いている小さなランに、ぼくは魅力を感じる

ラン(ステリス属の一種)の花を食べるゾウムシ
A weevil, Cholus nigromaculatus feeding on flowers of Stelis sp.
アナアキゾウムシの一種が、小さな花を一輪いちりん、鼻先にある口で丁寧に食べている。このゾウムシの幼虫はランで育つそうだが、詳しい生態はわかっていない。また、ステリス属のランの分類は比較的難しく、あまり研究が進んでいないそうだ。
ゾウムシの体長:10mm 花の大きさ:約2mm 撮影場所:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

 ここモンテベルデは乾季に入ったようだ。卵や幼虫、サナギが多い時期で、今どうしても逃せない昆虫の観察とデータ記録が山積みになっている。そのうえ、ツツガムシやダニが増え始め、とにかく痒い。カイカイの毎日が始まった。

 今回は、そんな乾季の初めに花の季節を多く迎える植物、ラン(蘭)を紹介しよう。

 コスタリカに来た当初からよく耳にするのが、この国のランの多様性はスゴイということ。種の密度が世界一高い国なのだそうで、これまでに1600種以上(面積が7倍ある日本では約200種)が記録されていて、固有種も少なくない。

 そしてそのほとんどが、小さなランたち。花の大きさは、ほんの数ミリという虫めがねか顕微鏡サイズだ。
 誰にも気づかれず、ひっそりと咲いている小さなランに、ぼくは魅力を感じる。

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写真はすべて(単子葉類:ラン科:セッコク亜科)です。

レパンテス・モンテベルデンスィス An orchid, Lepanthes monteverdensis
学名は、モンテベルデ地名にちなんでつけられた。モンテベルデの固有種だと聞いている。
花の大きさ:数ミリ 撮影場所:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
ステリス属の一種
Flowers of an orchid, Stelis cf. microchila
ぼくの一番のお気に入りかもしれないランの花。毛が生えた花びら、中央の窓枠のようなところから小鳥が覗いているように見える。
花の大きさ:2~3 mm 撮影場所:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
ステリス・ピロサ
Flowers of an orchid, Stelis pilosa
ペリカンが口を開けたような花で、細かい綿毛が生えている。
花の大きさ:約5 mm 撮影場所:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

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