第82回 啓示

「働き者だね! ウィルが言ってた通りだ!」

 その言葉には、すこし冗談めかした響きがありました。

 ジムはどうやら、今日は機嫌がいいらしく、続けて、こう言ってくれたのです。

「そういえば、まだ、君の写真を見てなかったね。あしたスタジオに持ってこないか? 写真の話をしよう」

 声をかけてもらったのは嬉しかったものの、急にそんなことを言われて、ぼくはとまどいました。

 でも、答えはひとつしかありません。

 とっさに「ありがとうございます。明日、持ってきます」と返事をしたものの、心の奥底では、複雑な気持ちでした。

 もちろん、ジムに写真を見てもらえるなんて、こんなにすばらしいことはありません。

 けれど、ウィルのところで撮った写真が、いい出来ではないことは自分でもよく分かっているのです。

 きっと誰だって、出来の悪い答案を人に見せるのは、気持ちのいいものではないでしょう。

 だからぼくは、ジムと明日会う約束をした後も、梱包の作業を手伝いながら、自分の気持ちを整理するのにてこずっていました。

 隠したって、いまの自分がそれ以上良くなるわけじゃない。

 たまたまよく撮れた写真を見せて、褒めてもらったところで成長なんかない。

 きっと次の現像を見ても、落ち込むに決まってるし、この胸の息苦しさは、ジムにも写真を見てもらうことでしか、消せないはずだ。

 だったらなるべく早い方が良いじゃないか……。

 そんなふうに自分に言い聞かせて、気持ちを奮い立たせようと試みるのですが、厳しい言葉を聞くことになるのだと思うと、やはり辛いものがありました。

「君は見込みがないから諦めた方がいい」なんてはっきり言われたら、はたして立ち直れるかどうか……。