第82回 啓示
デレーチョから2週間がすぎようとするころ、レイヴンウッド・スタジオも、いくらか日常を取り戻しつつありました。
少なくとも窓から見える範囲からは、大方の倒木が取り除かれ、ぱっと見たかぎりでは、撮影に支障がでないような風景が広がっていました。
しかし、ジムは、片付けの合間にも、空から見た嵐の被害を伝えるため、テレビやラジオの取材で忙しく、ずいぶん疲れている印象でした。
長年見つめてきた自然が破壊されたショックは、ぼくの想像をはるかに超えたものでしょう。
ぼくは、邪魔になってはいけないと思い、朝と夕方は、被害の少なかったクリフハウスのまわりや、ブッシュ・キャンプのまわりで再び撮影を開始していました。
そして、昼過ぎ頃にスタジオの近くを通るとき、まず娘のハイジを見つけて、なにか手伝えることはないかと、それとなく聞くようにしていました。
ちょうどハイジは、週末に控えた、ブルーベリー・アートフェスティバルの準備で忙しくしており、その手伝いをさせてもらうことができました。
ブースで販売するためのプリントを、ラップのようなもので包んだり、ポストカードのセットをヒモで縛ったりと、することはいくらでもありました。
そんなふうにして、スタジオの別棟の片隅で、ハイジといっしょに梱包を手伝っていたあるときでした。
ジムがぼくを見つけて、声をかけてくれました。
2014年12月3日(水)日本橋 ギャラリーキッチンKIWIで、12月6日(土)学芸大学駅『平均律』、12月14日(土) 雑司が谷地域文化創造館(日本オオカミ協会主催)で、大竹英洋さんの講演及びトークライブが開催されます。くわしくはこちらのページをご覧ください。