第36回  まるでおにぎり?マレーシアの定番朝ごはん

テイクアウト用のナシレマッ。殺菌作用があるといわれるバナナリーフは包装や皿によく使われるが、最近は高価なため新聞紙などを併用することも(写真提供:マレーシア政府観光局)

 添えられる料理や価格もさまざまなようで、「屋台では100円くらいで食べられるし、私の知っている限りで一番高いお店は1800円くらいです」とアマンダさん。「1800円って日本のランチでも高い!」と驚くと、「そこはすごく有名なカフェで大きな海老や蟹が付いているんですよ」と笑う。

「国民みんながよく食べるので、客をつかむためにお店ごとに独自性を持たせているんです。専門店で成功してお金持ちになり、豪邸を建てたような人もいます。ナシレマッが人気で、チェーン店の先がけとなったマレー料理店『マダムクワン』も最初は小さなお店だったそうです。私は市場の中にある家庭的なお店のナシレマッのほうが好きですけどね」

 マレーシアにはナシレマッ御殿があるのか……。感心しながらココナッツライスにいろいろな料理と佃煮のようなサンバルが付くナシレマッに、50年以上前に一軒の大衆食堂から始まった大戸屋を重ね合わせて、日本でいうならば「定食」のようなものでしょうか、と言うとアマンダさんはう~んと首を傾げる。

「あくまでナシレマッはココナッツライスとサンバル。屋台のシンプルなナシレマッは基本の食材だけですし、伝統的にはココナッツライスにサンバルや卵をのせてバナナリーフで包むんです。いまでもテイクアウトではそのようにして売られています」

 そういって写真を見せてくれた。手の平サイズで三角形に包まれたナシレマッは定食というよりは「おにぎり」。なるほど、これなら手軽で朝ごはんにもちょうどいい。こんな身近な国民食だからこそ、人気を獲得すれば、御殿を建てるのも夢じゃないのだろう。ナシレマッには“マレーシアンドリーム”があるのだ。そして店が競い合い、ナシレマッを豪華にしたから朝ごはんに留まらず昼や夜にも食べるようになったのかもしれない。

バナナリーフを開くとおにぎりのようなナシレマッが出てくる。露店やガソリンスタンドなどでも売られている(写真提供:マレーシア政府観光局)