第36回  まるでおにぎり?マレーシアの定番朝ごはん

「食べ方は混ぜてもいいし、とくに決まっていない」とアマンダさん。まずはメインのココナッツライスを口に入れる。ココナッツの甘い風味が口の中に広がるが、ショウガも一緒に炊いているからかさほどしつこくはない。サンバルは思ったより辛くなく、魚の旨みがたっぷり。味が濃いめなのでキュウリやピーナッツがほどよいアクセントになる。

 意外とマイルドな具だくさんのチキンカレーとの相性も抜群で、Tさんは早くも「お代わりしていいですか」と皿を持ってキッチンへと向かった。坂道を上るときの足取りの重さはどこへいったんだ……。

「昔はナシレマッといえば朝ごはんでしたが、今は朝昼晩いつでも食べます。夜ちょっと小腹がすいたら夜食にするし、週に何回も食べますね」と、ナシレマッが朝ごはんの定番なのか改めて問うと、アマンダさんは教えてくれた。

 マレーシアは多民族国家で、料理もマレー料理、中華料理、インド料理、そしてマレーと中華が合わさったニョニャ料理と大きく4つに分類される。ナシレマッは、マレー料理の1つ。マレー料理は、7世紀にスマトラ島で興り、現在のマレーシアやインドネシア一帯を支配したシュリーヴィジャヤ王国のマレー民族が伝統的に食べてきた料理だ。そのためマレーシアとインドネシアは似た料理が多いが、ナシレマッはマレーシアの料理として捉えられていて、国内では民族関係なく広く食べられているようである。

「マレーシアはもともと外食が多いんですが、ナシレマッが食べられるお店はとくに豊富。専門店はもちろん、市場やフードコートにも絶対にあるし、カフェでも置いてます。あまりにたくさんあるので、家でつくることはほとんどないかも」

アマンダさんの手作りナシレマッ。手前のチキンカレーはジャガイモやタマネギなどの具材がゴロゴロ。一番奥が厚揚げに野菜を挟んだタフバカだ