第86回 意外なところで見つけたゾウムシ

虫こぶをつくるゾウムシ

 ゾウムシ(幼虫)のなかには虫こぶを形成するものもいて、ぼくはコスタリカでこれまでに15種ほど見つけている。そのほとんどが新種だ。ちなみに、ほかの昆虫がつくった虫こぶの中に後から入りこむゾウムシも多いのでより慎重な観察を要する。

 虫こぶをつくる昆虫は、ぼくの大きな研究課題のひとつ。森を歩いていて、奇妙に膨らんだ葉や茎を見つけたら、中を調べてみたり、飼育したりしている。

 ここではぼくが見つけた、虫こぶをつくるゾウムシを4種紹介しよう。

 この交尾中の黒光りしたゾウムシは、まだ属名も付いていないヒメゾウムシの一種。下の写真の楕円形で囲った葉柄に、細長い(15×5 mm程度)の膨らみをつくる。中に幼虫かサナギが1匹いる。

 次の写真はキク科の植物。茎が紡錘形に膨らんで、少し枯れかかっていたので、何かいるかもと思い飼育してみた。

 すると案の定、中からオサゾウムシのRhodobaenus属の一種が出てきた。この属の種は、さまざまなキク科の植物で成長することがわかってきている。

 ヤドリギにもいた。茎が少し膨らんでいたので開けてみると、「エイリアンの頭」のようなゾウムシの幼虫が中に1匹入っていた。触れると、アゴを大きく開け、いかついようす。これはMyrmexという属のゾウムシで、成虫はアリに似ている(?)ものが多い。

 最後は、クスノキ科の木の枝に丸い虫こぶをつくる新種のCamptocheirus属のゾウムシ。後ろ翅の先端に黄色い斑点があるのが珍しい。右は幼虫で、腹側に茶色い筋が入っている。

 首都サンホセ近郊にあるコスタリカ大学のキャンパスで見つけてからすでに15年以上が経つ。以前、虫こぶがたくさんできていた木々には、今年は虫こぶをひとつも確認することができなかった。木々が大きくなり、すむのに適さなくなった可能性が高い。キャンパス内に生えてくる新たな若木は、常に伐採されてしまうので、このゾウムシは、生きていける場所を失いつつあるのかもしれない。

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