不思議でふしぎな寄生生物“勝手にベスト5”

寄生するかどうかを選ぶ糞線虫

 寄生生物というと必ず何らかの宿主の体に取り付くものと思いがちだが、糞線虫は環境次第で寄生生活をするか、他の生物に頼らない生活(自由生活という)をするかを選択する。寄生生活をしている糞線虫はメスしかおらず、人間の小腸粘膜に寄生して、メスだけで産卵する。卵は腸内でふ化してラブジチス型と呼ばれる幼虫になり、糞とともに体外に排泄された後、再び寄生生活に戻るか、自由生活をするかを決定する。寄生生活を選んだ糞線虫はラブジチス型幼虫から人間に感染できるフィラリア型幼虫に変化し、皮膚から侵入。再び小腸粘膜に寄生する。

 これに対して自由生活を選んだ糞線虫は湿った土の上でラブジチス型成虫になり、オス、メスによる有性生殖を行う。産み落とされた卵からふ化した幼虫もラブジチス型幼虫だが、一部は人間に寄生できるフィラリア型幼虫に変わって皮膚から人間の体に侵入する。ラブジチス型幼虫からラブジチス型成虫になって自由生活を続けるものもいる。

 寄生生活するか、自由生活するかを決める条件は未だ明らかになっていないが、排泄された時の気温、湿度、エサが得られるかどうかなどの環境条件を察知して決めているのだろう。

植物に寄生する植物、ナンバンギセル

 植物は太陽の光を使って光合成を行って自ら栄養を作り出している。ところが、ナンバンギセルは自分では光合成を行うことなく、イネ科、カヤツリグサ科、ショウガ科などの植物の根に寄生根を食い込ませて栄養を横取りしている。

 同じ寄生植物でも樹木に寄生するヤドリギが自分でも光合成を行う「半寄生植物」であるのに対して、ナンバンギセルはまったく光合成を行わず、すべての栄養を他の植物に頼っていることから「完全寄生植物」と呼ばれている。

 そのため、ナンバンギセルには葉はなく、茎のように見える花柄を伸ばして、その先端に赤紫色の花を咲かせる。その不思議な姿ゆえに山野草愛好家に人気があり、野山から持ち帰る人もいるが、完全寄生のため宿主となる植物も一緒に採集しなければすぐに枯れてしまうので要注意。

(文・斉藤勝司)