不思議でふしぎな寄生生物“勝手にベスト5”

皮膚の下を這いまわる顎口虫

 寄生生物にとって宿主となる生物は住処や栄養を与えてくれる大切な存在。住み心地のよいところにひっそりと暮らすほうがいいはず。しかし、たまたま侵入してしまった生物が本来の宿主でなかったら、寄生生物にとっては不幸としかいいようがないが、その不幸は宿主にも及ぶことがある。

 本来、イヌ、ネコ、イノシシ、イタチなどに寄生する顎口虫が人間に侵入したら幼虫から成虫になることもできずに体内を徘徊することになる。しかも、皮膚のすぐ下を這いまわってミミズ腫れのような痕ができることがあり、この症状は幼虫移行症と呼ばれている。

 人間の免疫の働きで2~3カ月程度で死ぬことが多いが、本来、イヌやネコに寄生する有棘顎口虫の幼虫は何年も生き続けて体内を這いまわるので、ミミズ腫れが現れては消えるということが何度も繰り返される。ミミズ腫れができるだけでも気持ち悪いが、顎口虫が中枢神経に達すると重篤な症状があらわれることがあるので、幼虫移行症だとわかれば速やかに医師の診察を受けて駆虫してもらいたい。

カタツムリの行動を操るロイコクロリディウム

 寄生生物が子孫を残すためには最後に寄生する終宿主にたどり着かなければならない。その前の中間宿主に留まっていては、幼虫のまま一生を終えるものもおり、是が非でも終宿主にたどり着かなければならない。そのため寄生生物の中には中間宿主を操って終宿主に移ろうとするものがいる。

 人間に寄生する日本住血吸虫や横川吸虫と同じ吸虫の一種のロイコクロリディウムは、最終的に野鳥に寄生するものの、その前に中間宿主のカタツムリに寄生する。しかし、カタツムリは乾燥を嫌って葉の裏に隠れるため、野鳥には見つかりにくい。そこで、ロイコクロリディウムはカタツムリの行動をコントロールして葉の表側に移動させる。しかも、自分はカタツムリの体内で目まで移動して、ほぼ透明な目のなかで、野鳥が大好きな芋虫に擬態してみせる。野鳥がカタツムリを食べれば念願の終宿主にたどり着いて成体に変化。野鳥の消化管で暮らして、卵を産み落とす。卵は糞とともに排泄され、これがカタツムリに食べられると、再び野鳥に移るためカタツムリの行動をコントロールするようになる。

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