そこで、友人のだんな様でオランダ人のジェラルド・デ・コルトさんに「リコリスってどのぐらい好き?」と聞いてみた。すると、「僕は今、体重に気を付けているからなるべく食べないようにしているんだけど、リコリスの袋を開けようものなら、1、2日で食べきっちゃうよね」というほど好きらしい(ちなみにお菓子としてのリコリスには、砂糖やハチミツなどが入っている)。風邪などで喉が痛むときにもこれを口にするという。

 オランダ中東部に住む彼だが、近くのスーパーには幅3メートルほどの棚いっぱいにリコリスが並んでいるそう。「スーパーのレジの脇にもよく置いてある。『あ、これもお願い』って風に買う人が少なくないからね」とジェラルドさん。日本ののど飴のような感覚なのだろうか。でも、のど飴って「食べ始めたらとまらないお菓子」というより、喉を潤すためのお菓子だからなぁ。ちなみに、オランダではリコリスのことを「ドロップ」と呼ぶそう。この名称は日本で飴類を指す「ドロップ」の語源ともいわれるらしい。リコリスは定着しなかったけれど、言葉は残ったんですね。

 オランダのリコリスで特徴的なのは「オート・ドロップ」と呼ばれる商品だ。世の中が急速に車社会となっていく中、1960年代に登場したもので、「様々な車の形をしたリコリスで、それぞれの車型キャンディーは紙に包まれているんだ。紙には各々の車種に関するちょっとしたウンチクが書いてあってね」とジェラルドさんは教えてくれる。子ども向けのお菓子として、オランダでは今も車に常備するほど人気なのだという。

 リコリスはアメリカやカナダでも人気、カナダ人の若い男子に話を聞く機会があり、「リコリスは好き?」と聞いてみた。「一般的には人気のお菓子だけど、僕は好きじゃないな。それに、おじさん、おばさん世代が映画館で食べるお菓子ってイメージがあるよね」と20代に入ったばかりの彼。アメリカやカナダの映画館スナックといえばポップコーンで決まりだと思いきや、リコリスもその一角を担っているらしい。

 実は、第113回の探検で話をうかがったデンマーク・オーデンセの観光局に勤めるローネ・ウスターゴーさんも「一番好きなお菓子はなんですか」と聞いたところ、「一番好きといったら、ラクリス(デンマーク語でリコリスのこと)ね!」と教えてくれていた。

リコリス。これはドイツ製菓会社のハリボー社のもの。数ある同社の商品の中でも、人気菓子。軟らかいグミのような食感。甘くした漢方薬のような味。なお、リコリスの食感は硬めのものから軟らかいものまで様々だそう

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