菓子袋を開けるとまず漂ってきたのは、ぷーんと濃厚なバニラの香り。まさにトウモロコシの粒そのもののような外観で、食べてみるとちょっと弾力のある食感の砂糖菓子という趣。これに馴染みのない日本人としては「どうしても食べたくなる」という味ではないけれど、ハロウィンにぴったりの色合いとトウモロコシ粒の形状はとても愛らしい。ハロウィンがこれだけ盛り上がるなら、アメリカのお菓子文化も一緒に定着してほしいものです。

 さて、海外ではものすごくポピュラーなのに、日本では見ないお菓子というのはキャンディーコーンだけじゃない。最も有名なのは「リコリス」だ。

 リコリスとは甘草の一種で、この根を使った黒いお菓子のことも指す。リコリスの根は砂糖の50倍もの甘味を持つ成分を含んでいるといい、痰を切ったり炎症を鎮めたりする効果などがあることから、はるか昔から世界各国で重用されてきた植物だ。古代エジプトでは飲み物に使われ、かのツタンカーメン王の墓からは様々な財宝と共にリコリスが見つかっているという。

 現代のリコリス菓子はキャンディータイプが基本。食感はグミに似ている。小さな粒状のキャンディーから紐のように長い形をしたものまで様々だ。キャンディータイプのリコリスはオランダが発祥の地ともいわれ、世界最大の消費国なのだそう。同国の政府観光局によれば、年間3200万キロものリコリスが消費されるという。

 リコリスは何度か口にしたことがあるが、濃く煎じた漢方薬のような味がして美味しいと思ったことがない。これだけ輸入菓子が入ってきている日本でも、「外国人御用達」のスーパーなどでもなければほとんど見かけることがない。日本人の味覚には合いにくいお菓子なのだろう。海外のお店にずらりとこのお菓子が並んでいるのを見たこともあるが、正直、今一つ、「ホントにみんな好きなのかなぁ」と実感できないでいた。

キャンディーコーン。赤・緑・白のクリスマスバージョンやパステルカラーのイースターバージョンなどもあり、ハロウィンだけでなく一年中店頭に並ぶ人気菓子だそう

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