さて、この項の冒頭で家庭における食品ロスの削減について少し触れた。余剰を生まない買い方、食品を使い切る工夫が基本だが、食品の新しさをむやみに求めるのも改めたいことのひとつだ。家庭から出る食品ロスの量が200万~400万トンにのぼると推定されていることはすでに述べた。食品ロスの削減は、生産、流通、小売など食品を供給する側のみならず、それを消費する側の課題でもある。私たち1人1人はどんなことができるのだろうか。

「たとえば、牛乳や菓子パンなど、その日か翌日には飲みきったり、食べきってしまうものなら、賞味期限がそんなに先のものでなくてもいいですね。そんなふうに家庭の生活サイクルに合わせた食品の選び方も、食品ロスの削減につながっていきます」

 買いだめを防ぐには、食品の在庫をこまめにチェックするとよい。食べ残すほど調理しないことや、残ったら別の料理に変身させて食べきる。あるいは、毎年9月1日の防災の日に備蓄の食料で夕食をとるようにすれば、備蓄品の期限切れを防げる。

 また、食品の余剰が出たら、それを使い回すことも大切。期限内に消費できる食品なら、フードバンクに寄付するのも一案だ。

「余った食品を職場や学校に持ち寄って、福祉団体や施設、フードバンクに寄付する『フードドライブ』という活動も、アメリカでは盛んです。最近は日本でも実施する自治体が出てきていて、2HJが協力しているケースもあります」と井出さん。

 食品ロスを減らす取り組み、行政、企業に任せるばかりではなく、個人の生活レベルからも考えてみたい。

おわり

高橋盛男

(撮影:藤谷清美)

聞き手・文=高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

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