File7 日本の食品ロス 井出留美
第3回 年間500万トンを超える食品ロスを減らすには
家庭の食品ロスに目を向けてみよう。
農水省の調査によれば、1世帯あたりの1日の食品使用量のうち食品ロス量は約40%を占めるという。また、家庭から出た生ごみの内容のうち、手つかずの食品が約22%を占めていたという京都市の調査もある。
食品ロス削減は、食品業界にのみ課せられた問題ではない。消費者も取り組まねばならない課題なのである。
買いだめしすぎない、食べ残すほど調理しない、食品期限表示の正しい理解などを、食品ロス対策を啓蒙する消費者庁などがPRしているが、そのひとつにフードバンクの活用がある。
フードバンクは、生産・製造から消費までの間に出る食品ロス、すなわち賞味期限がまだ残っており、食べられるのに廃棄されてしまう食品を企業や個人に寄贈してもらい、食品を必要とする施設や生活困窮世帯などに分配する活動だ。アメリカでは1967年に始まり、今日では全土に普及している。
日本国内では現在、約40団体がフードバンク活動を行っているそうだが、その草分けがセカンドハーベスト・ジャパン(略称2HJ)である。
フードバンクを含め、食べるものに困った人が食品を受け取れる場所の数を都市で比較してみるとは、ニューヨークが1100カ所、シカゴが600カ所。これに対し東京は、2HJが唯一である。
「食品の提供先は、約3割が児童養護施設です。そのほかに、障害者支援施設や母子支援施設、元依存症の方の自立支援施設、生活困窮者向けの食堂など、届け先は多様です」
本誌2014年11月号では2050年、90億人時代に向けた特集「捨てられる食べ物」を掲載しています。世界での状況を紹介したWebでの記事はこちらです。ぜひあわせてご覧ください。
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