イベントなどで無駄になる食品もある。食品展示会などでは、これも欠品を出さないようにするため、見本の食品が過剰につくられ、余分が廃棄される。東京マラソンでは、走者用に用意されたバナナが、大量に余り、2HJが引き取ったという話もある。

 災害時用の備蓄食品も、廃棄の憂き目にさらされている。2011年4月以降、東京都をはじめ自治体が「帰宅困難者対策条例」を定めた。条例では、全職員が3日間過ごせる水と食料の備蓄を事業者に努力義務として課している。備蓄食品は、3~5年で入れ替えなければならないから、その際に古いものは処分されることが多い。

「六本木ヒルズの場合、備蓄する水と食品の費用に2000万円かかると全国紙の記事で読んだことがあります」と井出さんはいう。

 かくも多様な場面で食品廃棄物が生み出されている。だが、生産・流通の過程に立ち戻れば、食品ロスに拍車をかけている大きな要因に「販売期限切れ商品の返品」がある。

 消費者には、たとえばスーパーマーケットの陳列棚から商品が引き下げられるのは、その商品の賞味期限が迫ったからだと思っている人が多いかもしれない。

 しかし、実際は業者が独自に設けた「販売期限」にしたがって商品が撤去される。それは、賞味期限よりもかなり早い時期に設定されている。つまり、まだ販売できる期間が残っているにもかかわらず、商品が売り場から外され、返品・廃棄されるのである。

 この「販売期限」の設定は「納品期限」とともに食品業界の慣習となっており、俗に「3分の1ル―ル」と呼ばれている。

つづく

高橋盛男

(撮影:藤谷清美)

聞き手・文=高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る