生産・製造から卸売、小売、消費にいたるまで、食品ロスはどの段階でも発生している。生産段階のロスでよく知られるのが農産物の例だ。野菜や果物は出荷に際して、成育状態、形や色、品質などに規格があり、規格外のものは出荷されない。

 また、ある野菜の供給が過剰になると、市場価格が低落して出荷が見合わないため、廃棄されることがある。最近では2012年の秋に、長野県や群馬県で白菜、キャベツが生産調整で畑ごとつぶされ、テレビなどで報道された。

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 食品メーカーの場合は、製造段階でのロスは少ない。ところが、小売りまでの流通と商習慣によって食品ロスが増大していくという実態がある。

 井出さんは、2HJの仕事に就く前は、外資系大手の食品メーカーに勤務していた。同社では「廃棄コストの増大に頭を痛めていた」という。

「メーカーでは通常、欠品を出したくないので需要を上回る生産計画を立てます。そこから多少のロスが出るのはやむを得ないことだと思います。しかし、出荷後にちょっとした不具合で製品が返品されてくるケースがあります。一度出荷されたものは、保管状況などが不明なので再出荷はできず、処分せざるを得ないのですが、その量が日本の場合、とても多いのです」

聞き手の高橋盛男さん。(写真クリックで拡大)

 返品の理由はさまざまだが「なぜ?」と首をかしげたくなるものもある。たとえば、1つひとつの商品には何の問題もないが、梱包した段ボール箱に汚れや破損があったという理由で返品される。それが流通過程でついたものであってもだ。

 あるいは、商品パッケージの一部を改訂しただけで、旧パッケージの商品は販売されなくなり、卸売や小売業者の在庫分が返品される。旧パッケージ商品が、市場で再販されるケースはまずない。バレンタイン、ハロウィン、クリスマスなどの季節限定商品も、販促時期が終わると返品の対象になる。

「クリスマスに赤いブーツに入ったお菓子が出回りますね。あのブーツは使い回されることもあるのですが、時期が過ぎると中身は捨てられます。販売促進の一環で、日本では季節限定、期間限定の商品が多いので、それだけ食品廃棄物も多くなっています」

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