第1回 南極まで6時間

南アフリカ共和国。テーブルマウンテンからケープタウンの街を見下ろす。この先に南極海が広がっている。

「残念だけど、日曜まで出発できないだろうな・・・」

 昨日の夕方、南アフリカ共和国ケープタウンのホテルで調査機材や防寒着の仕分け作業をしていたところに、調査隊のリーダーからメールが飛び込んできた。予定では今日、つまり2014年11月4日の深夜23時30分に、私たちは旧ソ連の機体イリューシン 76TDに乗って南極大陸に向かうことになっていた。

 ところが現地から届いた天気予報によると、現在2つの低気圧が発生しており、木曜までは風速10~15m/s、金曜から土曜の午後にかけては風速20m/sで、雪も降るという。そして、文末にはこう添えられていた。

「結論:これから金曜にかけてイリューシン 76が着陸するのには最悪のコンディション。極めて危険。土曜の夕方はわずかにチャンスあり。今のところ日曜以降は良好なコンディションが期待できる」

 そういうわけで、しばらくは南極に向かえそうになかった。

4回目の南極は過酷な山岳エリア

 10月28日に日本を出発した私は、ここケープタウンで、南極での調査に向けた準備にいそしんでいた。これからロシアの南極基地であるノボラザレフスカヤ基地へ入り、そこからさらに120kmほど内陸の山岳地帯に位置するLake Untersee(アンターセー湖)を調査しに行くのである(ちなみに、Unterseeはドイツ語で、訳すと“下湖”というちょっとおかしな名前になる)