クイズ王に勝った人工知能、今度は料理の独創レシピ

 ジャマイカ風チキンやラザニアのレシピをこれ以上増やす必要があるのかと疑問に思う方もいるだろう。たしかに、グーグルで検索すれば、一瞬にして数えきれないほどのレシピが手に入る。
 けれどもワトソンは、本物のシェフのように思考するのだ。例えば、ジャマイカの食べ物に関する情報処理を行って、香辛料、ピーナッツ、マンゴー、料理用バナナ(プランテーン)がよく使われることを知り、これを、平たいパスタとほかの素材を重ね焼きしたラザニアと結びつける。両者を組み合わせると、ジャマイカ風ラザニアというユニークな料理になる。

 ワトソンの味覚は文化の壁を越えている。西洋料理では、共通の成分が多い食材どうしを組み合わせることが多いが、東洋料理ではその逆だ。現在、ワトソンの料理アプリが開発されていて、そのベータ版が公開されているが、そこにはユーザーが選ぶ文化(アメリカ、中国など)の好みにもとづいてレシピを作る機能がある。素材と、作りたい料理と、料理のスタイルを選べば、ワトソンが何種類ものレシピをはじき出してくれる。

残りものでレシピを提案

 たとえば独立記念日のシェフ・ワトソンお勧めは「ビンナガマグロのパンケーキ」といった具合だ。レシピは理にかなっている。トウモロコシ粉のパンケーキに、ライム果汁とショウガとトマトで味つけしたマグロをトッピングする。たいしたものだ。
 うまく使えば、冷蔵庫の中で傷んでしまいそうな食材を有効活用して、廃棄される食品の量を減らすことだってできる。

 まもなく出るシェフ・ワトソンの料理本には、ワトソンが作り出した2年分の人気レシピが収録される。これに対してアプリでは、一人一人のユーザーに合わせたレシピを開発する。
「糖尿病患者のための料理本は、必ずしも魅力的ではありません」とピネルは言う。「こうした本は、個人の欲求を満たしてくれないからです。ワトソンは個人の欲求に応えるだけでなく、同じ料理を2度食べずにすむようにしてくれます」。