第81回 ブッシュ・キャンプ

 おなかがすいていたぼくは、焼き終わったバイソンの肉を、トマトやタマネギ、レタスと共にバーガー用のバンズに挟んで、勢い良くかぶりつきました。

 ジューシーというよりは少し乾いた感じだったけれど、しっかりとした肉の風味があって、とても美味しいハンバーガーでした。

 お腹も満たし、夕暮れが迫ってきたところで、ジムは、「ひとつ試してみよう」と言って、おもむろに湖に向かって立ちました。

 何をするのだろうとみていると、ジムは大声で呼びかけるときのように両の手のひらを口にあて、大きく息を吸いこみはじめました。

 そして、すこし上を向くと、なんと、オオカミの遠吠えを真似してみせたのです。

「ウーーオーーォォォーーーン……、ウオオオォォォォーーーン……」

 その遠吠えは、こだましながら、森の向こうへと吸い込まれていきました。

 声が届く範囲内にオオカミの群れがいるならば、返事があるはずだと、ジムは小声で教えてくれました。

 ぼくたちはみな、静かにして、森のどこからか返事がないかと耳をそばだてました。

 反応がないので、ジムは、もう一度呼びかけました。

 しかし、いくら待ってみても、残念ながら返事はありません。

 そのかわり、カラスが2羽飛んできて、きりもみするようにぼくらの頭の上空を横切っていきました。

 そのカラスは、スタジオの名前ともなっているレイヴン、つまりワタリガラスでした。

 ジムによると、それはただの偶然ではなくて、ジムの遠吠えに反応して、何事かと様子を見に来たのだろうとのことでした。

「オオカミと出会いたかったら、レイヴンたちの言葉や生態も知らなくてはいけない。彼らはいつもいっしょにいるんだ……」

 ワタリガラスは知能も高く、記憶力にすぐれ、20年近くも生き、200以上の鳴き声を操るそうです。

 仲間同士で、あるいは、オオカミたちと複雑なコミュニケーションをしていてもなんら不思議なことではないとジムは言います。

 オオカミに獲物の居場所を教えることもあり、その報酬として、おこぼれに預かることもできる。

 ときには、おたがいにからかいあっているような様子を見ることさえあるそうです。