第81回 ブッシュ・キャンプ
デレーチョによって倒されてしまった、無数の木を片付けていく毎日。
持ち運べる大きさに切ったとはいっても、やはり生木の丸太はかなりの重さがありました。
1日中運び続けていると、だんだん握力がなくなってきて、腕や足も、疲労で思うように動かなくなってきます。
そして、朝起きるといつも、手のひらから、首や腰、そして、ふくらはぎまで、全身が筋肉痛でした。
でも、しばらく撮影から離れて、汗だくになって体を動かしたことで、撮影の出来が悪かったことや、森が破壊されたショックから、すこしでも気を紛らわせることができました。
しかも、嵐の片付けとはいえ、ジムといっしょに過ごす時間が増えたのは、ぼくにとって、とてもありがたいことでした。
そのおかげで空を飛ぶこともできたし、ずっと憧れていた「ブッシュ・キャンプ」にも連れて行ってもらうことができたのです。
ブッシュ・キャンプとは、スタジオの建物から1キロほど東に建てられた小屋で、写真集『ブラザー・ウルフ』と『Chased by the Light』の重要な撮影拠点です。
ジムの家を探す手がかりとして持ってきた、あの手書きの絵地図にもしっかりと記されていて、もしもジムに会えたら、その小屋にもぜひ行ってみたいと夢見ていました。
そして、その願いが叶ったのは、片付けを手伝っていたある日の、午後遅くのことでした。
ジムが「ブッシュ・キャンプの様子を見にいこう」と言うと、ジュディが「ちょうどいいから、今夜はそこで夕食を食べましょう!」といって、ピクニックの準備をして、3人で出かけることになったのです。
2014年12月3日(水)日本橋 ギャラリーキッチンKIWIで、12月6日(土)学芸大学駅『平均律』、12月14日(土) 雑司が谷地域文化創造館(日本オオカミ協会主催)で、大竹英洋さんの講演及びトークライブが開催されます。くわしくはこちらのページをご覧ください。