第111話 哀れで愛おしい、糞観察結果

 ムースの糞ならば、コロコロとしたチョコボールのようなものが、バラバラと落ちているものだ。

 私は視力が悪いので、近くに寄らなければ、はっきりと物が見えない。

 しかも辺りが暗くなり始めていたので、なお見えにくく、私はしゃがんで、よーく見てみた。

 ルーペでも持ってくれば良かったと思いながら、私は糞に顔を近づけた。

 よーく見ると、糞が毛羽立っている。

 これまで熊の糞も、ムースやカリブーの糞も、牧場の牛や馬、羊や豚、犬や猫の糞も観察したことがある。

 その経験から言うと、まず黒熊の糞は、草や木の実ばかり食べているせいか、水分が多く、地面に落ちた瞬間にべちゃっと広がったような糞が多い。

 中はベリー類の種だらけだった。

 グリズリーの糞はと言うと、肉食動物らしいド~ン! とした立派なかたまりで、小動物の小さな毛が残っていた。

 牧場の牛たちは、夏の青草を食べている牛に限るが、これまた水分量が多く、地面に落ちたときに円盤状に広がって、乾くとフリスビーのように固まっている。

 馬の糞は、与えられている餌にもよるけれど、大抵は、北海道で捕れる馬糞ウニそのものだ。

 まあ、馬糞ウニのほうが、馬の糞に似ているから名前がついたのだから、馬の糞が、馬糞ウニに似ているという説明はナンセンスなのだけれど、これが一番想像しやすい。

 ウニ特有のトゲトゲは、馬が食べている干草の茎が、消化不良を起こして、そのまま出てくるからだろう。