第1回 北米の国立公園:心を潤す大自然との触れ合い

 米国は、世界で初めて国立公園を創設した国。1872年のことである。あまりにも希有な景観を持つイエローストーン一帯が、オークションで売りさばかれるのを防ぐためだったという。後世になってフランクリン・D・ルーズベルト大統領はこう語っている。「国立公園制度の根本にあるのは、この国の土地は国民みんなのものだということだ。そして国民一人ひとりの心を豊かにするためには、公園としての整備が必要だ」

イエローストーン国立公園

ワイオミング、アイダホ、モンタナの3つの州にまたがり面積は9000平方キロ(鹿児島県全体とほぼ同じ)と広大。間欠泉や噴気孔などの火山性地形で有名だが、アメリカバイソンなどの野生動物と触れ合うこともできるので家族連れに人気だ。
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 北米大陸は国立公園発祥の地ということもあり、豊かな景観の公園が数多くある。カナダのバンフ国立公園やジャスパー国立公園では険しい雪山や湖沼群を堪能し、米国ワシントン州のオリンピック国立公園では霧の立ち込める雨林を歩き、南下すればカリフォルニア州のセコイアの森や、アリゾナ州のグランド・キャニオンの絶景を眺めることができる。

グランド・キャニオン国立公園

世界でもっとも有名な国立公園の一つ、グランド・キャニオンはコロラド川が18億年かけて浸食した壮大な峡谷だ。谷を囲む断崖のふちをリムと呼ぶが、南リムの展望台から北リムの展望台まで行くのに、車でたっぷり5時間はかかるという。もちろん、トレイル(登山道)を下って川まで降りるトレッキングも楽しい。
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 国立公園は、北米大陸で一番深い湖から、北米大陸の最高地点に至るまで、さまざまな地域の自然を保護している。その景観の多様性には驚かされる。たった1日のドライブで、ヨセミテ国立公園のシエラネバダ山脈の雪景色と、デス・バレー国立公園のひび割れた塩の大地を体験できる。対照的な二つの景観が、すぐそばにあることに驚く。

ヨセミテ国立公園

年間400万人の旅行者が訪れ、その9割が世界一大きい花崗岩の一枚岩エル・カピタンや、落差190メートルのブライダルベール滝を見るためにヨセミテ渓谷を目指す。この公園は車で見て回れるようになっているが、ヨセミテの真の姿を知りたければ、総延長1300キロに及ぶ整備されたトレイルに足を踏み入れよう。
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 本来、太古から続く自然とそこに住む動植物を保護するのが国立公園の目的だが、北米では都会からのアクセスが容易な公園が多い。都市に住む人にとってなくてはならない自然と触れ合う場を提供している。

 もっと知りたい方はムック『美しい世界の国立公園』をどうぞ。


ナショナル ジオグラフィック
美しい世界の国立公園

世界の国立公園76カ所を、地域別に分けて紹介。美しい自然と動植物を保護し、訪れる人の心と体を癒やしてくれる国立公園の魅力を、迫力ある写真を豊富に使って伝える。

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