京都大学の芦生研究林で、深夜、林床をさささっと動き回るカマドウマに会い、翌日の日中、水中のハリガネムシと、サケ科渓流魚、ヤマメやイワナと会った。

 佐藤さんが、今回、彼の「研究室」である森で見せてくれた「フルコース」はそのようなものだった。

 単一の種というよりも、生態系の中のエネルギーの流れの中に位置づけられた存在として語る部分が大きかったのだが、そういう話題が一段落した後で、今度は生き物の方を中心にもう一度振り返っておきたい。わずかながらフィールドで触れあった「彼ら」をめぐるあれこれについて落ち穂拾い。

 まずは渓流魚。

 これは美しい。ありていに言って、美しい。

 佐藤さんはもともと渓流魚の保全研究者で、サケ科の魚の話題になるともう感情移入しまくりだ。同行した編集者もカメラマンも上級の釣り人なので、芦生研究林のヤマメやイワナの美しさに感嘆していた。ぼく自身も、「宝石のような」とかありきたりの言葉を臆面なく使おう。

 だから、今も佐藤さんの心の中心には、宝石のような渓流魚がドカンと居座っているのは無理もない。

「学会で人に会うと『ハリガネムシの佐藤さんですよね』とか、言われるんです。でも、僕は『ハリガネムシを通して、渓流魚の研究をやっているんや』って、声を大にして言いたい。ハリガネムシの佐藤、違いますよ(笑)」

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本誌2014年11月号でも特集「世にも恐ろしい 心を操る寄生体」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。ぜひあわせてご覧ください。

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