第4回 世界初! 寄生虫が異なる生態系をつなぐことを証明

「僕は生まれたのが大阪で岸和田とかだったんで、川なんか汚なかったんですが、両親にたまに連れて行ってもらう山奥の川で、ヤマメかアマゴを見たんですよ。記憶ははっきりしないんですが、ものすごい綺麗やって感動して。やっぱり綺麗なもの見ると憧れるみたいなことがあって。そのあとずっとサッカーしてて忘れてたんですが、大学は水産学部で4回生になると、卒論をどうしようかと思った時に渓流魚の研究したいなと思ったんです。渓流魚やったらのめり込んでできるかもと思って」

 実際に渓流魚の世界にのめり込み、紀伊半島の山間部に生息している在来イワナの保全研究で博士号を取得した。川の最上流に数百匹という数でしか生息していないもので、それが今後どのような運命をたどるのか、守るためにはどうしたらよさそうかといった研究だ。

 ハリガネムシやカマドウマに目が行ったのも、渓流魚の研究からだった。

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「──渓流魚の保全の研究をしていると、陸の虫をどれぐらい食べてるんやろうとか気になって、サケ科の魚を捕まえては食べたもの吐き出させて調べてたんです。すると、本州で調べていた川のほとんどで、秋になると今日みたいにカマドウマを吐き出しまくったんですよ。最初は気持ち悪くて、そのときのフィールドノートには『またカマドウマ』とか、『カマド』とか、『溶けてるカマドきもい』とか(笑)、いろいろ書いていたんですけれども、そのうち、はて、これはおかいしいぞと思って。カマドウマって羽がないですし、偶然川に落ちるっていう理由がどうしても思いつかなくて」

「──それでさらに見ていくと、カマドウマと一緒にひもみたいなやつが出てくるんですよ。ハリガネムシやったんですけれども、これなんやろと思うようになって、ちょうどその時にナショナル ジオグラフィックの映像に出会ったんですよね。コオロギのお尻からひもみたいのが出ているやつです。ハリガネムシに操作されて飛びこんだコオロギが水域の捕食者、魚とかカエルとかに食べられる。ハリガネムシは一緒に食べられると死んじゃうけれど、うまくいけばクネクネと動いて出て行くみたいで、ああ、これか、と思ったわけです」

 佐藤さんの現在の研究の背景にはナショジオあり、だったとは。

 なお、その時のナショジオをきっかけに知った論文は、前にも言及したフランスの研究チームのものだそうだ。

 生態学の研究としては、生き物と生き物の関係を知りたい。それも、できれば定量的に。そこで、佐藤さんは思い切ったフィールドでの操作実験を敢行した。