第85回 おしゃれゾウムシは、ダニで着飾る

 とにかく、よく出会うゾウムシがいる。

 クチブトゾウムシの仲間だ。ゾウムシの中でもっとも種数が多く、多様性が高いグループで、ゾウというよりもハナグマのピソちゃん(右)のような「鼻」(口吻)をしている。
 特徴は、この口吻が太く短いこと、そして色鮮やかな種が多いこと。体長はだいたいが10 mm程度で、ゾウムシの中でも大きめである。

 昼間、森の開けた場所で、植物の上にいるのをよく見かける。

 ご覧のとおり、その姿はたいへん目立つ。こんなふうに、クチブトゾウムシが鮮やかな色や模様をもつ秘密は、体表の「鱗片(鱗のようなもの)」にある。拡大して見てみると、ラメ箔(粉)のような鱗片がぴったりと付いている。

 この鱗片ひとつの大きさは約0.05 mm。チョウやガの鱗粉ほど、はがれやすくはないが、そぐように削ると、魚の鱗が取れるような感じではがれる。

 写真のクチブトゾウムシのメタリックグリーンの鱗片を少しはがしてみた。すると、はがれた鱗片は、半透明でパールのような輝きになった。魚の鱗を思い出させる。

 写真のように、クチブトゾウムシは赤いビーズのようなもので着飾っていることもある。

 実はこれ、タカラダニというダニの仲間の幼虫で、昆虫などに寄生している。まるでアクセサリーのごとくクチブトゾウムシたちを豊かに彩るのである。

 下の写真はクチブトゾウムシではないが、目の下から胸のあたりにかけてびっしりとダニが張りついている。もうここまでくると、アクセサリーというレベルを超えて、衣装というところだろうか・・・体の模様を変えてしまうまでになっている。

アナアキゾウムシの一種(ゾウムシ上科:ゾウムシ科:アナアキゾウムシ亜科)
目(複眼)の下から後ろ、胸の横にびっしりと張り付いているのは、トゲダニの仲間。左の写真は、ダニとは気づかず「おしゃれな赤茶色の筋の模様が横に入っているなぁ」と思いながら撮影していた(笑)。(写真クリックで拡大)

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