第3回 寄生虫ハリガネムシはどうやって宿主の心を操るのか

「実は、ハリガネムシの成虫を研究室に持って帰ってくると、すぐ卵産んでくれるんですよ。で、しばらく待つと卵が孵化して、『ああ、うまいこといった』ってなって。それで、水生昆虫を近所の川からとってきて幼生と一緒にすると、5日ぐらいするとシストをつくるんです。で、『ああ、うまいこといった』って言って、その水生昆虫を終宿主、コオロギに食べさせるんですけど、なぜかそこでうまいこといかないんです」

 カマドウマではなくてコオロギ。いったいなぜ? たしかにヨーロッパでの先行研究はコオロギを使っていたわけだが、研究林で佐藤さんはしきりとカマドウマを集めていたので、当然、カマドウマを使うのだろうと思っていた。

「ヨーロッパイエコオロギとか、市販されているような簡単に手に入るコオロギを使って研究を回したかったんです。アメリカのハリガネムシではできるっていうのがわかっていたのと、神経生理をしっかり進める上でモデル生物の1つなんです。重要な機能に関するタンパク質とか、遺伝子レベルのこともほとんどわかっているので、それに対して寄生生物が何したかっていうのがチェックしやすい。でも、全くうまいこといかなくて。それで、本州だけでなくて、北海道のハリガネムシとか、いろんなハリガネムシ試してて、もうマッドサイエンティストです。集めてきては卵産ませて、食べさせて感染させまくるって……それでも出来ないので、仕方がないので今年からはカマドウマやカマキリにまで手を出すかというところなんです(笑)」

地道なフィールドワークあってこその研究だ。(写真クリックで拡大)