第2回 まるで寄生獣!寄生虫ハリガネムシの恐るべき一生

「川に成体が出てきたところから始めます。オスとメスがいるので、どうやってか相手を探し当てなければならないんですが、その方法はまだ分かりません。とにかく、クネクネときれいな動きをしているのを見ます。あれは、泳いでいるんやと思います。それでオスとメスが出会うと、クルクル巻き付きあって、オスは精子の詰まった嚢(精胞)をあげて、それがメスに入ると。そして、メスがバババッと、糸くずみたいな受精卵の塊(卵塊)を大量に生むんです」

 この瞬間が、前に言及した『寄生獣』的な、メスのさきっぽがパカッと割れる時だ。

「糸くずみたいな卵塊は、大体1カ月、2カ月ぐらいかけて卵の中でちっちゃなイモムシみたいなのものになるんですよ。そのイモムシは実はちょっと変わった性質を持っていて、体の先端にノコギリみたいなのが付いてるんです。そのノコギリを出し入れすることができるようになっていて、孵化するとワラワラと川底蠢きます。川の中のいろんな小さな有機物を吸い取ってエサにしている漉し取り食者っていうタイプの水生昆虫が、それを取り込むんです。取り込まれると、ノコギリで腸管の中をグズグズ掘り進んでいって、腹の中で『シスト』という状態になります。自分の体を折りたたんで、自分で殻をつくって、完全に眠ってしまうとマイナス30℃に冷凍しても死なない休眠状態です」

孵化後の幼生(左)は、水生昆虫に取り込まれると“ノコギリ”で腸管を掘り進み、お腹の中でシスト(右)に変化する。殻をつくったシストが完全に休眠するとマイナス30℃でも死なない。(写真提供:佐藤拓哉)(写真クリックで拡大)